第4章 #2

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こけた瞬間を覚えていなかった。わたしはどうして、こけたのだろう? それに、こんなに派手にこけるほど、運動神経は悪くないはずだけど……。 あの時、何があったっけ? 時間を遡るように、自分の記憶を辿っていった。 放課後、帰宅したわたしは、制服姿のまま家の近くの公園へ行った。そこへ行けば、拓斗がスケボーで遊んでいると思ったからだ。 予感は的中し、拓斗はいつもの公園でスケボーの練習をしていた。 わたしは隣に置いてあった拓斗の古いスケボーを借りた。 わたしが来ることを予測して、持ってきてくれたのだろう。 二人で夢中になって遊んでいた。 思いがけず、時間は経っていたようで、気づくと辺りは紺色に包まれていた。 藍色の空から青い光の筋が伸びているように見えて、私は夜空を見上げた。 そこには、大きな月が輝いていた。 今日の月は満月だった。 そして‥‥うっすらと青かった。 その満月は、特別な月に見えた。
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