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そして、気づくと、今だった。
わたしの両膝は血まみれで、体のあちこちが痛い。
痛みのきつい太ももを見るためにスカートをまくりあげると、いくつか紫色に変わった内出血の跡が見えた。
「灯里!」
声を荒げたのは拓斗だ。
「スカート、めくるな!」
「大丈夫。ちゃんと考えてめくってるよ」
「考えてスカートめくる奴がいるか!」
ほんと、拓斗は口が悪いな。
わたしはブツブツ言いながら、スカートを元に戻す。その時、またさっきの声が聞こえた。
「送るよ」
先ほどよりも近くから聞こえる声に不思議に思い、そちらを見ると大きな背中が目に飛び込んできた。
柔らかなTシャツが、彼の背中を浮かび上がらせていた。
痩せ型に見えていたのに、骨ばった大きな背中だった。
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