第4章 #2

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「乗って」 こちらを向いた広い背中が、わたしに言う。 「いいです! いいです!」 わたしは彼には見えているはずもないのに、ブンブンと首を横に振りながら答えた。 誰かの背中に乗るなんて、とんでもない! 「ほんと平気です!」 「大丈夫」 「ほんと。大丈夫じゃないんです!」 重いから! 「それくらいの重さなら平気」 「わかるんですか?」 あえて言葉にしなかった言葉を読み取られて、驚きのあまり素直に聞いてしまった。 「なんとなくだけど」 「いえ、ほんとに大丈夫ですから」 わたしたちの会話を遮るようにそう言ったのは、拓斗だった。 拓斗は、彼の背に手を置いて言った。 「こいつのせいなので、自分で歩かせます」
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