第4章 #2

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「灯里です」 “君”と呼ばれたことがやけに恥ずかしく思えて、わたしは自分の名前を告げた。 「わたしの名前は、深山灯里」 「あかり、か」 呟くように彼が言う。わたしは聞き返してしまった。 「あなたは?」 「俺は……コウ」 彼は、自分の名を告げた後、ふっと目線を上げた。 彼の目に大きな青い月が映り込み、切れ長の瞳がブルーになった。 再びわたしに目をやると、彼の瞳は黒と青が重なって、青っぽいグレ―に見えた。 「巽コウ」 吸い込まれる、と思った。 彼の瞳に、声に、青色の月影を背負ったその姿に。 わたしは一瞬、吸い込まれた。
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