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第4章 #3
「この器は? どうなってんの?」
半透明の大きな器を見ながら、コウが言う。
そこに気づくなんて、なかなかやるな、と思いながらわたしは答えた。
「これは氷の器。ブロック氷をくりぬいて、氷の器を作ってるんやで」
「どうして?」
コウは眉間に皺を寄せて、言った。器を氷にする理由を聞かれてしまうと、バカなわたしにはわからない。うーんと考えてから、「なんでやろ?」と素直に言ってしまった。
「それはな」
仏頂面だった拓斗が、ゆっくり話し出した。
大好きなかき氷のことについては、黙っていられないようだった。
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