第5章

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姿見に自分の姿を映してみる。 夢の中の私は、17歳の高校生だった。 両膝小僧から血を流した、女子力の欠片もない、恥ずかしいくらい活発な女の子。 鏡に映る今の自分は、当時のように瑞々しい肌に、一本一本が生きていると感じるような艶やかな髪質でもない。 当時の面影はあるものの、17歳の頃よりも少し痩せ、体つきがより女性ぽくなった。 長く伸ばした茶色の髪が胸の前で波打っている。 鏡に映る私は、やはり25歳の私なのだ。 けれど、今朝の私はいつもと違った。 先ほどからずっと、頭の中がジンジンと痛んでいる。 喉元は焼けるように熱く、瞼はいつもよりもずっと重たい。 頬に流れる何かに気づいて、そっと手を当てる。 指先についたものは、涙だった。 私、夢を見て、泣いていたんだ……。
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