第4章ー3 #2

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動揺したわたしはキュッと結んでいた唇を無理やり開けて、焦るように話し出した。 「きょ、きょ、今日は提灯の取り付けまで、ありがとっ。バイト代はずんでもらわなくちゃねっ」 早口だった。 先ほどからずっと聞こえている心音と同様、体に流れる血が、鼓動が、どんどん速くなっているのが自分でもわかっていた。 「いや、バイト代はいいよ」 彼に流れる時間は、変わらずゆっくりだった。 それとも、あえて速度を落としてくれているのかな。 わたしを自分のペースへ連れて行くために。 「どうして?」 するりと出た声が、先ほどよりもゆったりと耳に響く。 あぁ、わたし、何かを感じている。 コウを取り巻く空気が、いつもよりもずっと重いことに気づいている。 わずかな間を置いて、ためらいがちに彼が話し出した。
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