11人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっと……家族と連絡が取れたから」
「え……?」
「明日の朝、家に帰ろうと思ってる」
「……」
「だから、もしバイト代があるとしたら、それはお世話になったお礼にとっておいてほしい。てか、灯里の御守をしたくらいで、バイト代なんてもらえないよ」
そう言って、彼は美しい笑みを見せた。
言葉の出ないわたしの頭にポンと手を置いて、彼は目を細める。
「今、……灯里のお母さんにも、挨拶してきた」
「……」
「灯里、泊めてくれてありがとう。すごく助かった」
「で、でも! わたしまだ京都の町、案内できてない! コウに東山の坂を見せたかったし、7月の半ばには祇園祭りの宵山もあるんだよ!」
最初のコメントを投稿しよう!