第5章

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朝起きると、雨の音も聞こえないような霧雨が降っていた。 私は、布団から起き上がり、窓際から外を眺めた。 この記憶は、一体なんなのだろう。鮮やかに映る夢を見ていたのだろうか。 青い月の光も、その光に包まれた彼の色素の薄い髪も青っぽいグレーの瞳も、すべて、夢なのだろうか。 懐かしい麻のパジャマをめくり上げると、膝小僧に、怪我の跡を見つけた。 この傷痕は、夢の中でひどく血が出ていた場所と同じだ。 8年の月日が経ち、ほとんどの傷が回復したけれど、深くえぐれた部分だけ痕となって残っていた。
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