第5章ー2 #2

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奏と私は、東京の同じ大学の生徒だった。 広いキャンパスの芝生の上で、奏と私は初めて出会った。 その時、彼は私を見て何かを言った。奏はなんて言ったっけ? 私たちは、どうして、付き合うようになったんだっけ? 「私、やっぱりバカなのかな……」 「なに、突然」 「最近、色んなことを忘れているの」 「うん」 「なんでなんだろう」 ふと漏れた言葉に、「思い出すために来たのかもな」と奏が言った。 私は彼をじっと見つめる。 「すべてを思い出すために、灯里は京都に来たのかもしれないね」
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