第5章ー2 #2

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小学生の頃、お父さんとお母さんの3人で来たことがあった。 初めてきたのは、11月。紅葉の季節だったな。 当時を思い出しながら、広い境内を歩いた。 通天橋見た紅葉に美しさを、今もよく覚えている。その時に父が言っていた言葉も。 『お父さん、すごい。綺麗……』 小さな私は人混みの中で、精一杯首を伸ばし、真っ赤な紅葉を眺めながら言った。 お父さんは私をひょいと持ち上げ肩車すると、真下のもみじを見せた。世界が真っ赤に染まる。 『そうやな。綺麗やな』 『お父さん、もみじはずっと赤いの?』 と私は聞いた。 赤く染まる葉が不思議だった。
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