第5章ー2 #2

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また二人の世界が帰ってくる。 「なぁ、灯里」 青もみじが染める鮮やかな景色を見つめながら、奏が言う。 「昨日は、……どうして泣いていたの?」 「……それは」 クッと言葉がつまる。 何も言えなくて、目を伏せた。 何事もなかったかのように流してくれたと思っていたけれど、やっぱり奏には敵わないと思った。 どんな些細な変化でも、見破ってしまう。 そして、それを絶妙のタイミングで聞いてくるのだ。 「言いたくないなら、聞かないけど」
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