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第5章ー2 #2
次の日、両親は早朝から仕事へ。私と奏は京都の町へ出た。
仕事が忙しい彼は、なかなかまとまった休みが取れなくて、旅行もままならない。だから、京都へ来た時は、いろいろな観光地へ行きたいという。
そうは言っても、奏にとってはまだ3回目の京都。奏はまだ、京都のことをよく知らない。
「どこがいいかな? 奏は何が見たい?」
「京都らしいとこだよな。やっぱ」
「そうだなー。清水寺も高台寺も、この前来た時、行ったしね」
「あぁ、ライトアップされた冬の清水寺も高台寺も綺麗だったよな」
「うん……綺麗だったね。今の季節ならどこがいいかな」
祇園祭が始まったばかりの京都の町中は、宵山に向けての準備で忙しい。
それなら、少し足を延ばして、嵐山へ行くのはどうだろう。鞍馬や貴船のほうへ行くのもいいかもしれない。
洛北のほうの風景を思い浮かべていると、彼が私を覗き込むように見て、「灯里は?」と聞く。
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