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第7章 #2
夜だからだろうか。それとも、御手洗池だからだろうか。
思っていた以上に冷たい池の水温に、思わず二人して声をあげた。あちらこちらからも、同じような悲鳴が聞こえてくる。
コウを見ると彼もこちらを見ていて、「大丈夫?」と互いの声が重なった。
「大丈夫だよ」
「平気」
また二人の声が重なり合い、おでこをくっつけるような格好で笑い合った。
橋の下に、『御手洗祭』と書かれた小さな提灯が三個かけられていた。
わたしたちは、灯りを灯したろうそくを持ったまま、橋の下にある緑色の坂道を降りていく。
坂を下りきると、膝丈ほどの深さのある池の中へと入った。
“池”と、名前がついているが、流れる水はとても綺麗だ。清水と言ってもいいくらいだ。
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