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水に浸かりながら池の中をゆっくりと歩くと、人々が手に持っているろうそくの灯りの揺らめきが水面に反射して、池全体がオレンジ色に見える。
あまりにも美しいそのオレンジ色の世界に、思わずため息が漏れた。
ろうそくを運ぶ人々は夜の闇に溶け込んで、ろうそくの炎だけが点々と灯るようにも見える。ろうそくの灯りだけが歩いている、とふと思う。
「このろうそくは、どうするの?」
オレンジ色の灯りを見ながら、ふわふわと考え込む私に、彼が声をかける。
わたしはハッと我に返り、コウに言った。
「あ、えっとね。池の端に献灯台があるから、そこにお供えして」
「わかった」
コウが献灯台を目指す。
足の長い彼は、水の中でもしっかりと歩けるようで、私との距離がどんどんと離れていく。
取り残された私の前を、後から来た人たちが次々に追い抜いて。
「あっ……」
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