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小さく声を漏らすと彼が立ち止まり、振り返って、
「悪い。速かったな」
と言った。
「ううん」
こちらを向いたコウの背後に、たくさんのろうそくが並んで揺れている。
彼を映し出すかのように灯るオレンジ色のゆらめきに、わたしの心も揺れ動く。
右へ左へと風に揺れ、けれど、また戻ってくる。蝋の芯に添うように。
わたしは胸の奥にぽっかりと浮かんだ温かな気持ちのまま、彼の元へと近づいた。
「ごめん。お待たせ」
「あぁ」
二人で並んでろうそくをお供えして、手を合わせて、お願いごとをした。
「何をお願い事したの?」
「灯里がこれ以上、無茶をしませんようにって」
「なにそれ」
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