第7章 #2

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言いながら、ろうそくの前で軽く肩を叩く。 もう少し、落ち着かなきゃいけないって意味なのかな。 もう少し、女の子らしく振る舞わなきゃいけないってことかな……。 わたしはコウに似合わない?  そう思うとシクリと胸が痛んだ。 池から上がると、持ってきたタオルで足を拭き、靴を履いて、神水を頂いた。 その後、足形祈祷をするために、足形の裏に名前と年齢を書き、井上社前の水に浮かべ、無病息災、健脚祈願をした。 御手洗池での足つけ行事が終わると、わたしたちはまた楼門を潜り、糺の森へと入った。 木々に覆われた糺の森の真ん中に伸びる参道のちょうど真上に、大きな満月が見えた。 「コウ、ほんとに月が青いね」 「あぁ……」 コウは、月を見上げてそう言った。 彼と私が会えるのは、青い月が輝く夜だけだと、今更ながら気づいた。
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