最終章 #2

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最終章 #2

初めての気持ちだった。 わたしは、初めて人を好きになった。 好きだと気づくと、涙が出そうになる。 その姿を見られたくないのに、側にいたいと思う。 自分の気持ちが制御できなくなって、 「ちょっと待ってて!」 わたしは、玄関をガラッと開けると、2階へと駆け上がった。 階段をドタドタと踏み鳴らし、自室に戻ってくる。 はぁ……と大きなため息をついて、鏡に映る自分を見ると、頬も目も真っ赤だった。 激しく鳴り続ける心臓に手を当てて、何度か深呼吸をした。 息を整えながらも、心のどこかでは焦っている自分にも気づく。 ゆっくりはしていられない。 外でコウが待っている。 わたしは、机の上に置いておいた、コウと一緒に作った手作りのミニ提灯二つと、去年の残りの手持ち花火を持って、1階へ降りる。 玄関を開けて、外へ出ると、コウが石畳の上に立っていた。
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