18人が本棚に入れています
本棚に追加
最終章 #2
初めての気持ちだった。
わたしは、初めて人を好きになった。
好きだと気づくと、涙が出そうになる。
その姿を見られたくないのに、側にいたいと思う。
自分の気持ちが制御できなくなって、
「ちょっと待ってて!」
わたしは、玄関をガラッと開けると、2階へと駆け上がった。
階段をドタドタと踏み鳴らし、自室に戻ってくる。
はぁ……と大きなため息をついて、鏡に映る自分を見ると、頬も目も真っ赤だった。
激しく鳴り続ける心臓に手を当てて、何度か深呼吸をした。
息を整えながらも、心のどこかでは焦っている自分にも気づく。
ゆっくりはしていられない。
外でコウが待っている。
わたしは、机の上に置いておいた、コウと一緒に作った手作りのミニ提灯二つと、去年の残りの手持ち花火を持って、1階へ降りる。
玄関を開けて、外へ出ると、コウが石畳の上に立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!