最終章 #2

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昔、聞いたことがある。 この世界と同時進行している別世界の話だ。 「うん……。私たちの世界によく似た別世界……のことだよね?」 とだけ、わたしは答えた。 詳しいことは何もわからない。 名前を聞いたことがあるくらいだった。 「そう。俺は、そこから来た」 「嘘でしょ……」 変な冗談だと思った。 「そんなのドラマか、漫画だけの話じゃないの? 現実にそんなことが起こり得るなんて、信じられない」 強くそう言った。 本心だった。 私たちの住む世界と別の世界があるなんて、馬鹿げている。 「灯里は、宇宙の4%のすべてが、この世界だけのものだと思うのか?」 「え……」 「4%は、灯里の住む世界だけのものじゃない」
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