最終章 #2

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「今度は何を思いついた?」 何事もなかったかのように、柔らかく彼が言った。 コウの優しさに胸がキュッと軋む。 「花火をしようと思って」 わたしは、袋に入った花火を持ち上げて見せる。 「いいな」 やっと、彼が同意してくれた。 ろうそくに火を灯した。 透明の袋から花火を1本取りだして渡すと、コウは「ありがとう」と目じりを下げた。 わたしも1本持って、ろうそくに近づける。花火の先端はチリチリと音を立てて燃え出し、火薬に届くと、一気に火の粉の花を咲かせる。 コウが、眩しいほどの黄色に染まる。 「コウの花火、『七色変化』だって!」 「ほんとに7色も変わるのか?」 「わたし、実は数えてる。今、2色目」 「もう数えてたなんて」 隣にいる彼は短く笑って、こちらを見た。 「ちゃんと、花火見ててよ。7色あるかわからないじゃない」 「……そうだな」
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