最終章 #2

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言い合い、笑い合いながら、夏の夜が過ぎていく。 ひとつひとつと、夏の花が散っていく。 最後に残った花火は、赤い実をつけた線香花火だった。 「これ全部、コウにあげる」 「どうして?」 線香花火の束を差し出すと、コウが首を傾げる。 “線香花火が終わると、夏が終わりそうな気がする” その想いは口にできなかった。 その言葉を口にすると、言葉に魂が込められて本物になりそうだったからだ。 「線香花火を束のまま火を点けたいって、昔、拓斗が言ってたから、コウもそうかなって、思って」 「……俺は違うよ」 珍しくムスッとして、コウが言った。 「俺は、1本ずつ楽しみたい。美しいものは……大切にしたい」
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