最終章 #2

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彼の声に胸が詰まる。 やっぱりコウは、今日の日を最後にしようとしているんだ……。 彼の息遣いが聞こえるほどの距離だった。 花火を扱う指、伏せた目の形、伸ばした腕の長さ。わたしは、横目でコウのことを見ている。意識しなくても、無意識に、彼のことばかり考えている。 「灯里」 「うん」 そっと名前を呼ばれて、コウの次に火を点けた。 線香花火は揺らめきながら、互いの頬を照らす。 ふと目が合って、恥ずかしさのあまり俯いた。コウも照れたように笑った。 同じ、想いだったらいいのに――。 人は、どんどん欲張りになる。 好きだと気づいたら、コウも私のことを好きだと思って欲しいと願っている。 そんな奇跡、簡単に起きるわけがないのに……。 線香花火の赤い実がポリと落ちた。
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