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やはり、その瞬間は、夏の終わりをわたしたちに告げているように感じた。
もう少しで、青い月の夜が終わる。私たちの夏が終わる。
瞼を伏せて、消えた花火を見ると、瞼の奥に、かすかな気配を感じた。
そっと目を上げると、しみいるような静かな眼で、コウに見つめられていた。
暗闇の中で、もう一度目が合って、私は、
「……どうしたの?」
と聞いた。
コウは、何かを言おうとして、言葉を詰まらせ、
「……いや。何でもない」
それだけ言った。
わたしはそんなコウに、伝えたかった。
胸の奥底に眠る言葉は、一つしかない。
「……好き」
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