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「今日で、ブルームーンが終わるから」
「え……?」
「もう、ここへは、来れない」
わたしには、コウの言葉が理解できない。
こんなにそばにいるのに、抱きしめてくれたのに、わたしたちはもう会えないの?
目の縁が熱くなり、鼻の奥が痛くなってくる。
けれど、泣いてはダメだと思った。これ以上、コウを困らせたくない。
瞼に溜まる涙を零さないように堪えていると、彼が私の頬に張り付いた髪を直してから、苦しそうに目を細めた。
「俺の住む世界と、灯里の住む世界は……違うから」
「どういう、こと?」
わたしは彼を見つめる。
彼は優しく微笑んで、知らない単語を言った。
「灯里はさ、パラレルワールドって、知ってる?」
パラレルワールド?
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