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「お兄ちゃん、スマホなってる」 「へいへい」 朝食が終わり居間でくつろいでいると、スマホがなった。 着信音に気付いた妹が早く出ろといわんばかりに催促をする。 そんなにテレビに集中したいのか。 僕は、スマホを持って誰もいない縁側へ行った。 そして通話ボタンを押し、 耳に当て「はい」と言う。 目に映る広い庭は、昨日の夜の庭とは雰囲気が全く違う。 やわらかな新緑と土に落ちる影の濃さを見ながら、電話の向こう側から聞こえる声に集中しようとした時、 弾けるような高い声が飛んできた。 「圭一君!」 「えっと……誰?」 それは、女の子の声だった。 「私、桜!」 「あぁ、桜さんか。どうしたの?」
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