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「なんで謝んの?」
「え」
「謝ることないじゃん。俺、嬉しいけど」
「……」
「沙紀の家に、来れて」
様々な理由で、親と一緒に暮らせない子どもたちが、一つ同じ屋根の下で生活をする場所を児童養護施設と呼ぶことくらい、僕だって知っている。
詳しいことはわからないし、来たのも初めてだけど。
でも、その事実を知ったところで、僕たちは何も変わらない。
僕が東京に住んでいて、彼女が京都に住んでいる。
そんな僕が“谷圭一”であって、
目の前に彼女が“小宮沙紀”であること。
それらが、何も変わらないことと、同じように。
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