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どう見ても
僕より年上には見えない彼女とケラケラと笑い合いながら、
僕たちは山道を歩いた。
先立って歩く彼女の足取りは、軽やかだ。
彼女は茶色の山道に伸びている木や草を、うまくかき分け進んでいく。
道とは認めたくない道に差し掛かっても、きつい傾斜を歩いても、
彼女の歩くスピードは変わらない。
文句ひとつ言わない。
沙紀は、地元の子どもだなと感心した時、彼女が立ち止まっていることに気付いた。
「圭一君、大丈夫?」
彼女が振り返って、言った。
僕は肩で息をしながら、「大丈夫」と声を出す。
サッカーで鍛えているはずなのに、山道は使う筋肉が違うのか。
それとも沙紀が早いのか。
「もうちょっとだから」
彼女は、涼しげな表情を見せた。
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