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少しして僕たちは、山の切れ目にたどり着いた。
もしかしたら、ここが頂上なのかもしれない。
小高い丘のような、こんもりした低い山なのだろう。
「圭一君、見て」
そう言って、紗紀が目の前に広がる空間を指さした。
空気が澄んだ静かな夏の夜に
キラキラとした沢山の光が揺れ動いている。
玩具のように小さくなった家やマンションが、僕たちに光をくれている。
先ほど、泉で見た星たちとは違う人工的な美しさだ。
夏の夜空の大気のせいか、奥の方はぼやけて映る。
山の上から夜の京都の町が一望できた。
「すげーな」
ふと漏れた僕の言葉に、彼女が答えた。
「うん。この場所、大好きなんだ」
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