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満点の夜空の下で、時間だけが静かに過ぎていく。
星のきらめきが、僕の胸にも落ちてくる。
彼女が夜景に視線を戻したので、僕もそちらを見た。
「一人で見るより、綺麗……」
独り言のように、彼女が夜空に声を放つ。
彼女が教えてくれたお気に入りの景色は、とても美しかった。
僕が知らなかった世界の在り方だった。
「あの左側の。林の奥に見えるグランウドと校舎、わかる?」
しばらくして、沙紀が夜景を指さしながら説明してくれた。
「うん。あれ、学校?」
「そう。あれは小学校」
「じゃあ、あっちは?」
川を挟んで森の手前にも、よく似た建物を見つけた。
「あれはね、今、私が通ってる高校」
「へぇ……」
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