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「……ある、と思う」 一拍の間を置いて出てきた答えに、僕自身が驚いていた。 胸の内側から、素直な言葉が出てくる。 「期待されているのがわかるから。時々それをぶっ壊したくなるけど……できないかな」 夜が僕を素直にさせているのだろうか…… それとも、沙紀が素直にさせているだろうか…… 胸につかえていた思いがスルスルと溢れてくる。 脳裏に浮かぶのは、 「お兄ちゃんで面倒見がいい僕」 「ものわかりがいい僕」 「サッカーで次期キャプテンが決まっている僕」 時々、色んな期待に押しつぶされそうになる時がある。 でも、僕はそれを見せない様に、ひた隠しに生きてきた。 冷静に、感情を押し殺すように。
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