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「もう、いい?」
その後、囁くような声が聞こえた。
沙紀が白い布を持っている。
そろそろ終わりにしたいという意味なんだろう。
「あぁ。ありがとう」
僕の返事に、彼女は安心したように微笑んでから絵に布を被せる。
また、色のない夜が戻ってきた。
窓際に貼られている大きな窓の夜の絵に、彼女が描いた月と同じ青い満月が光っている。
僕たちは小さなテーブルの前に座って、話をしていた。
沙紀はこの寮の相部屋の友達の話、
頼りにしている施設の先生の話など、
いろいろな話を聞かせてくれた。
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