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でも、どうして沙紀に、見破られたんだろう。
「どうして、そんなこと、聞いたの?」
そっと、僕は聞いた。
「私ばっかり話を聞いてもらっているから。圭一君の話も聞きたいなって、思って」
「そっか」
ウチに秘める思いはたくさんある。
でも、それは誰しもが抱えているものだろう。
わざわざ声に出すほどのことでもない。
僕は一人で、乗り越えていける。
その時、ふわっとした感覚が僕の髪の上にのった。
何かが髪に触れていた。
不思議に思い目を上げると
彼女の小さな手のひらが僕の頭を触っているのがわかった。
小さな手のひらは、僕の頭を撫でるように行ったり来たりする。
僕は撫でられながら聞いた。
「何してるの?」
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