第三章 #2

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「うん……」 ブルームーンの命の長さは、4日間。 月の初めの4日間が終わり、その次に現れる月の終わりの4日間が終れば、 その月のブルームーンは終わりを告げる。 そんな特別な満月の時は、数年後しか現れないのか……。 青い月光は、すべての物を幻想的に映していた。 僕の目に映る物がふと消えてなくなりそうなくらい、すべてを青く儚く映している。 きっと、この夏の思い出は、僕にとって特別なものになる。 そんな予感を抱えながら、僕は夜空を見上げた。 しばらく夜空を見上げていると、満月の中に愛らしい笑顔が見えた気がした。 目尻の垂れた猫のような瞳と キュッと上がった口角。 それは――…… 沙紀の笑顔だった。
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