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僕にとって、月と星を見ると思い出す人は、沙紀だ。
僕はいつの間にか彼女が言った言葉までをも思い出していた。
『時々、いっぱい喋りたくなる』
そう言った沙紀の気持ちが、今の僕にはよくわかる。
それは今の僕も同じ想いだからだ。
すべてを受け入れて許してくれる婆ちゃんが傍にいてくれるから、僕は普段なら言わないようなことまで、話したくなっていた。
「婆ちゃん、あのさ……」
「ん?」
「……日向寮って、知ってる?」
「日向寮?」
婆ちゃんは少し考えてから、閃いたように言う。
「あぁ。山の上にある……施設のことかい?」
「そうだよ」
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