第三章 #2

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素直な気持ちを言葉にすると、歯が浮くようなセリフになってしまった。 けれど、婆ちゃんが嬉しそうに微笑んでくれたので、僕は安心して。 そして、……気づいた。 そうか…… 彼女は、すべてが綺麗なんだ。 だから、僕は、彼女に恋をしたんだ。 昨日は、彼女の容姿に一目ぼれをして。 今日は、彼女の心に恋をした。 昨日の僕も、今日の僕も そして、これからの僕も ずっと彼女に恋をする。 僕はずっと彼女のそばにいられたら‥‥ そう願っている。 でも、彼女には――。 再び、絡み付くような息苦しいような、味わったことのない感情が、心の奥から湧きあがってきた。 人を好きになることに慣れていない僕には難しすぎる感情で、どう処理をしていいのかわからない。 彼女には――想い人がいる。 胸が、痛い。 ……苦しい。
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