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いつもいる泉の淵に、沙紀はいなかった。
泉の周辺を見回すも、彼女の姿はどこにも見当たらない。
今日は……来ないのか?
「わっ!」
一瞬、呆然とした僕の耳元に、誰かの声が届いた。
声がしたほうへ振り向くと、
「驚いた?」
口の両端を上げて微笑む女の子がいた。
――沙紀だ。
僕の心が、彼女の名を呼ぶ。
よかった……、会えた。
「何……してんの?」
声が震えないか、気を付けた。
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