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僕がそう言うと、沙紀はブンブンと首を横に振ってから、
「全然っ。いつもクールな圭一君の、ハトが豆鉄砲を食らったような顔が見れたから」
沙紀は、満足気に言う。
「そんな顔、してた?」
「うん。してたよ。あの顔、絶対忘れられない」
沙紀は肩を小刻みに揺らして、クスクスと笑う。
クールでもなければ、ハトに豆鉄砲でもないと思うんだけど。
心の中でそう突っ込みながらも、彼女の満開の笑みが見れたので、僕はすべてをヨシとした。
普段の沙紀は優等生なのに、時々、こうゆう子どもっぽいことをしたがる。
これが本当の沙紀なのかもしれないけれど。
「どれだけ、隠れてた?」
沙紀にそっと手を伸ばし、頭の上に乗かった葉を取ってやる。
「ちょっとだけだよ」
そう答えた彼女に葉っぱを見せると、彼女は目を見開いてから、恥ずかしそうに頬を染めた。
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