3 #2

5/10
前へ
/35ページ
次へ
僕がそう言うと、沙紀はブンブンと首を横に振ってから、 「全然っ。いつもクールな圭一君の、ハトが豆鉄砲を食らったような顔が見れたから」 沙紀は、満足気に言う。 「そんな顔、してた?」 「うん。してたよ。あの顔、絶対忘れられない」 沙紀は肩を小刻みに揺らして、クスクスと笑う。 クールでもなければ、ハトに豆鉄砲でもないと思うんだけど。 心の中でそう突っ込みながらも、彼女の満開の笑みが見れたので、僕はすべてをヨシとした。 普段の沙紀は優等生なのに、時々、こうゆう子どもっぽいことをしたがる。 これが本当の沙紀なのかもしれないけれど。 「どれだけ、隠れてた?」 沙紀にそっと手を伸ばし、頭の上に乗かった葉を取ってやる。 「ちょっとだけだよ」 そう答えた彼女に葉っぱを見せると、彼女は目を見開いてから、恥ずかしそうに頬を染めた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加