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僕たちは1階席の店舗を抜けて、川床に足を運んだ。 鴨川から涼やかな風が流れ込んでくる。 「わぁ……」 鴨川と京都の町並みが一望できる空間に、彼女が歓喜の声を漏らした。 「すごいね?」 そう言って、僕を見上げる彼女。 さすが人気なカフェなだけあって、どの席も埋まっている。 川床では時間がゆったりと流れているのか、過ごした方は皆それぞれだけれど、川のせせらぎや夜風の涼しさを肌で感じ、くつろいでいるように見えた。 「いっぱいだね」 彼女の声のトーンがわかりやすく下がった。 きっと、他の階にも席があるはずだから、そちらに移動するか? そう思い視線を動かしたとき、一番奥の席があいた。 鴨川に一番近い、いい席だ。 「空いたね」 「ラッキー」 僕たちは、夏の京都の特等席をゲットした。
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