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「もう無理なのかな……」
無意識にそっと、彼女が夜空に声を放った。
「もう、来てくれないのかな……」
彼女の瞳に、光が輝く。
「この夏で、最後なのに……」
最後、と言った彼女の瞳が、静かに揺れ動いた。
「もう、待たないの?」
そっと、僕は聞いた。
彼女に他の人を待ってほしくないと思う気持ちと、待ち続けたその人を諦めてほしくないと思う気持ちが混同している。
僕は、どうかしている。
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