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「ごめんね……」 「謝り過ぎだって」 「うん……でも」 あれから僕たちは、鈴虫寺を出て、嵐山に帰って来た。 阪急嵐山駅で下車して、寮へと向かって歩いている。 全ての店が閉まっていて、シャッター街の町に聞こえるのは僕たちの声と足音だけだった。 彼女は、静かな夜道を歩きながら、鈴虫寺で突然泣いたことを、何度も謝っていた。 「気にしすぎだって。もう忘れたら?」 僕がそう言うと、彼女は足を止めた。 彼女の足元に白い光の数々が灯っていた。それは、橋を照らすライトだ。  僕たちは、いつの間にか渡月橋まで歩いてきたようだ。 「きっと、忘れられない」 「え?」 「私ね……たとえ、偶然だとしても嬉しかったんだ」 
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