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第4章 #2
僕の下手くそな嘘を、彼女は咎めなかった。
僕たちは、垣根を挟んで会話をしている。
僕の世界は薄暗い夜の色をしていて、彼女の世界は鮮やかな蒼だった。
「こっち……来ないの?」
彼女は小首を傾げてそう言う。
傾げたとき、髪に光る物を見つけた。
「……行っても、いい?」
「うん」
森の中にいる僕と、泉の側にいる彼女。
そちらの世界へ足を踏み入れると、僕は蒼の世界に溶け込んだ。
僕はまた、居心地のいい彼女の隣に来てしまった。
「それ、つけてくれたんだね」
複雑な思いを抱えながらも、自然と口角が上がった。
彼女の右耳の上には、昨日、僕があげた髪飾りがついていた。
右耳に大きな星、その下には髪と一緒に、流れるような小さな星が数個ある。
絶対に似合うと思って選んだ物だけれど、
髪飾りをつけた沙紀の姿は、僕の想像をはるかに超えていた。
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