6人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん。この髪飾り、すごく可愛いよね。圭一君、本当にありがとう」
ありがとうと言いたいのは、僕のほうだ。
僕が選んだものを身に着けてくれるなんて、それだけでどうしようもなく嬉しい。
髪飾りが風に揺れ、髪と一緒にキラキラと光るたび、胸の奥のほうがキュウと締め付けられる。
今日、つけてくれるなんて、思いもしなかった。
彼女が僕のほうを向くたびに、髪の横についている小さな星が淡く輝く。
星の煌めきに、僕の想いが反射するようだ。
「……似合ってる」
「ほんと? 嬉しい」
純粋に喜んでくれる沙紀の顔をずっと見ていたかったけれど、少し恥ずかしくなった僕は彼女の隣でしゃがみ込み、拾った傘を泉につけてみた。
先ほどの彼女と同じように星をすくってみようと思ったけれど、うまくできない。
星が集まってこない。
最初のコメントを投稿しよう!