第4章 #2

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彼女はどうやっていたっけ?  広げた傘で水をすくいながら、僕は言った。 「沙紀はさ、星をすくえたことある?」 「ないよ」 彼女は柔らかい笑顔でそう言った。 先ほど、星をすくっているように見えたのは、目の錯覚だったのかな。 「やっぱり、すくえない?」 「うん。……すくえない」 今度は残念そうに、そして断言したように言う。 「小さいときは、本当にすくえるって思ってた。金魚とかアメンボとか、そうゆうのをすくう感じで。泉に映る星影もすくえるって思ってたんだけど、やっぱりすくえないな……」 「気づいたのに、どうして、まだやるの?」 「それは……」 彼女がすっと息を吸って、吐いて。泉を見つめて言った。 「すくうマネをしてたの」 「……どういうこと?」
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