第4章 #2

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彼女の声が震えだし、瞳にうすく膜が貼る。 彼女は、なだらかな肩を震わせながらも、真実を教えてくれた。 「それなのに……新しくできた学校の友達に、もう遊べないって、言われたの。施設の子とは、遊んじゃいけないって、その子のお母さんが言ったんだって」 そんな……。 「私、それを聞いて、もういいやって思ったの。いっぱい頑張ってきたけど、もう頑張りたくないって思った。すごく疲れちゃって、森の中を一人でふらふら歩いてたら、この泉を見つけて」 「……」 「泉に映る青い満月を見て、思ったんだ……」 「……」 「この泉に映る満月の中に飛び込んだら、夜空に浮かぶ満月にワープできるんじゃないかって。 そうすれば、月にいるお母さんに会えるんじゃないかって、そう思って ……泉に落ちた」
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