第4章 #2

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『……』 『全部、大人の責任だ。子どもたちは何も悪くないのに、いつも子どもたちに非がかかる。それは間違ってる』 『……』 『あそこにいる子どもたちは強い。寂しい想いを抱えながらもそれを受け入れて、自分の力で生きる準備をしている。そんな、綺麗で強い子が、可哀想なわけないじゃないか』 『……』 『間違えたらだめだ。世界がもっと優しかったら、あの子たちは、もっとずっと、生きやすいんだ』 僕は、彼女のいる世界の意味を、何もわかっていなかった。 親とずっと離れて暮らすという、心の支えを持たない子どもたちの不安は、きっとはかりしれない。 ――『いい子、いい子』 だからこそ、彼女たちは支え合って生きていて、 ――『町には降りない』 これ以上、傷つかないように、限られた世界の中で生きることを選ぶ子だっているのだ。
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