最終章 #2

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それは、見慣れた光景のはずなのに、僕は違和感を覚えた。 この光景は、京都の鴨川沿いにあったスタバでは見られなかったからだ。 皆、スマホを持っていなかった。 それは、川床の景色と風を感じられる特別なカフェだったから?  皆、その時間を大切にしていただけなのかな? そういえば…… 新京極のアーケードを歩いていた時も、すれ違う人たちの手にある携帯電話は、ガラケーばかりだったような……。 京都の町中で見た風景を思い出しながら、僕は隣に座る裕也にこっそりと聞いた。 「なぁ、いつもこんな感じだよな?」 「なにが?」 「スマホ」 そう言って、周りを指さす。 「当たり前だろ、何言ってんだ」 そうだよな、 この日常が僕たちの当たり前の光景なのだ。
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