最終章 #2

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昼食の後、3人に遊びに行こうと誘われたが、僕は用事があるから、と断った。 先に帰ろうとする僕をとがめる人はいなかった。 皆、気持ちよく送り出してくれた。 それはきっと、先ほどのカフェで、桜さんの友達から聞かれた質問への答えのせいだと思う。 『圭一君は……好きな人、いるんですか?』 今日見た中で、一番の赤い顔をした彼女の質問に、僕は大きく息を吸ってから答えた。 『うん。いるよ』 『そうですか……』 『でも、最近、失恋したんだ。当分、恋は、できそうにない』 そう素直に告げた僕に、皆、何も言わなかった。 『じゃあ』 と言って小さく手を振り、駅に向かおうとすると、 『俺も帰るよ』 そう言った裕也が今、僕の隣にいる。
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