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堤防沿いを歩く僕たちを、夕暮れが赤く染めた。
薄紅色のちぎれ雲が空に散らばっている。
夕方の風が吹き、短く刈られた芝生から青草の匂いがする。
僕たちが歩いている堤防では、ランニングをする人、犬の散歩をする人、ベービーカーを押す若いお母さんなどがいて、土手の下のグラウンドからは、活気のいい高い声が聞こえてくる。
そちらに目を落とすと、白いユニフォームを着た子どもたちが、野球の練習をしていた。
「なんか、悪かったな……」
その景色を何気なく眺めてながら歩いていると、裕也がぽつりと呟いた。
「何が?」
僕は裕也の横顔を見て、聞いた。
「あんなこと、言わせて」
裕也は前を見たまま、言った。
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