最終章 #2

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『デート、どうだった?』 1か月前、そう送られてきたメールに返事ができなかった僕を責めもせず、それ以上聞き出すこともせず、いつもと様子の違う僕を買い物に連れ出してくれたのは、きっと裕也の優しさだろう。 それなのに、僕はみんなの前で失恋した事実を告げてしまった。 裕也は、そんなことしたくなかったのだと思う。 体はでかくて動きは荒いけど、優しい裕也。 桜さんも、裕也のそんなところに惚れたのだろう。 「ふられたから、新しい恋だなんて……お前には、違うよな」 「……うん」 朱色の空が、薄い紫色に変わり始めていた。 菫色をした世界の中でも、僕が思い出すのは、やっぱり沙紀だ。 沙紀と離れれば、この想いなんて、あっさりと消えてなくなると思っていた。 小さな箱に閉じ込めた僕の恋心は、日も当たらず、水ももらわず、そのまま萎れていくだけだろう。 そう思っていたのに――……。 僕は、どこへ行っても、何をしていても、彼女を思い出すのだ。
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